カテゴリー「フィル・スペクター」の3件の記事

2011年2月 6日 (日)

ウォーカー・ブラザーズ~The Walker Brothersがアイドルだった

Walkerbrothers_mono_2 フィル・スペクター関連のCD発売の記事で1983年のベスト盤発売時にレコード・コレクター誌に特集が組まれた、と書きましたが、大瀧詠一氏と山下達郎氏の対談も載っています。司会は萩原健太氏。その中で山下達郎氏は「中学2年生の時にウォーカー・ブラザーズのLPを買った。朝妻(一郎)さんの“(Baby)You Don't Have To Tell Me-心に秘めた想い”の解説に『フィル・スペクターを思わせるノイジーなサウンド』と書かれていて、ここで初めてフィル・スペクターの文字を見たんです。」と述べています。私もまさにそうなのです。私が初めて買った洋楽のLPがウォーカー・ブラザーズなのです。小学校6年生でした。

ウォーカー・ブラザーズは、ジョン・ウォーカー(本名ジョン・マウス):ギター、スコット・ウォーカー(本名スコット・エンゲル):ベース、ゲイリー・ウォーカー(本名ゲイリー・リーズ):ドラムの3人からなるアメリカ出身のグループで、イギリスに渡り成功を収めます。アメリカ時代はリーゼントでロックン・ロールを歌い、リード・ボーカルをジョンも担当していたようです。
※左手後ろにはブロッサムズ(ダーリン・ラブ)の姿を見る事が出来ます。

ジェフ・ベックが譲り受けたというエスクワイアが、ここでジョンが弾いているギターのようです。
John_jeff
左がジョン・ウォーカー(Shindig ! 別シーンより)、右がヤードバーズのジェフ・ベック

ジェフは譲り受けた後、幾つかのパーツ変更をしておりピックガードも白から黒に変更されたようです。

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2ndシングル「ラブ・ハー」 よりスコットがリードをとりジョンがハーモニーをつけるというスタイルが確立され、3rdシングル「涙でさようなら」と5th「太陽はもう輝かない」が全英NO.1を獲得します。活動期間は2年余りと短かったのですが、イギリス及び日本では爆発的な人気を誇ります。

そして1967年2月プロモーションの為初来日、精力的にTV出演をこなします。5日間(実質4日間)の滞在中出演したのは、
Wb_tv_s 2月5日(日)
 TBS「歌うバラエティ」録画
2月6日(月)
 フジTV「ビート・ポップス」録画
 NTV「11PM」生出演
2月7日(火)
 NTV「明星スター劇場」録画
 フジTV「ザ・ヒット・パレード」録画
2月7日(水)
 TBS「ヤング720」録画

このTV出演が、私を含め今まで彼らの事を知らなかった者にも強烈なインパクトを与えます。その当時、私もフィル・スペクターなど知りませんでしたが、他のグループとは違う深みのあるサウンドとスコットの魅惑的な低い声、当時23,4才であったにもかかわらず大人を感じさせるカッコ良さに、忽ちファンになったのです。彼らのNo.1(UK)ヒットは「涙でさようなら」と「太陽はもう輝かない」ですが、日本では「孤独の太陽」と「ダンス天国」が大ヒットしました。その当時の私はクリス・ケナーもウィルソン・ピケットも知りません。「ダンス天国」と言えばウォーカー・ブラザーズだったのです。

彼らのサウンドは、フィルズの中ではどちらかと言えばライチャス・ブラザーズの系統でしょうか?ロネッツの曲も「Everything Under The Sun」と「Walking In The Rain」をカバーしてはいますが。


1.(Baby)You Don't Have To Tell Me-心に秘めた想い
2.The Sun Ain't Gonnna Shine Anymore-太陽はもう輝かない
3.Land Of A Thousand Dances-ダンス天国
4.Deadlier than the Male-やさしい悪魔
5.Everything Under The Sun-二人の太陽

また日本に来る事を約束して日本を去った彼らですが、何とその3ヶ月後に突然解散してしまい、ジョンとスコットはソロに、ゲイリーはゲイリー・ウォーカー&ザ・レイン(後にバッド・フィンガーに加入するジョーイ・モランドがおりました)を結成する事になります。しかし、日本のファンとの約束を守る為(?)と、翌年1968年1月に日本でのみ公演を行ったのです。一度解散した(している)グループが日本公演の為だけに集まるという極めて稀なケースです。音源だけですが、来日公演の様子をYouTubeにアップしました(私が)ので、ファンの熱狂ぶりを聴いてみて下さい。ちなみにサポート・メンバーのドラムスは、後にジェフ・ベック・グループに加入するミック・ウォーラーでした。

彼らはまた、不二家のCMにも出演しています。

プレゼントに応募してポスター集めたものでした。 Wb_poster_1200_3

来日公演を終え彼らはまた個々の活動に戻るのですが、1975年には本当に再結成し1978年までに3枚のアルバムを残し、また解散します。

フィル・スペクターつながりでのウォーカー・ブラザーズ紹介ですので、個々のソロ活動や再結成時の彼らについて述べるのはここでは差し控えます。それにスコットについて語るのはそう簡単に出来る事ではないので。

以前に再発されたオリジナル・アルバムは残念ながら廃盤になっていて、ベスト盤しか手に入らないようです。


スコットに関しては、デビュー当時からの軌跡を追ったドキュメンタリーがDVDとして出ています。エグゼクティブ・プロデューサーをデヴィッド・ボウイが務め、ブライアン・イーノ、マーク・アーモンド、ジャーヴィス・コッカー(パルプ)、レディオヘッド、スティングなど、スコットから影響を受けたミュージシャンが彼について語っています。


【追記】2011年9月19日
ウォーカー・ブラザーズのアルバム・コレクションを公開しました。
My Collection-The Walker Brothers

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2011年1月29日 (土)

ガールグループス~GIRL GROUPS-The Story Of A Sounds

Girl_groups_s_2

フィル・スペクター関連のCDが来月発売されるというので、昔買ったビデオをもう一度観直してみました。

これは1983年にMGM/UA HOME VIDEOより発売された、ガール・グループスの栄光の歴史を辿るドキュメンタリー作品です。 私が持っているのはベータのビデオ。これを読んで下さっている方のほとんどがベータなんて見た事ないでしょうね?おまけに当時の価格が¥12,800ですよ、ビックリです。よく買ったものです。でも買って良かった!素晴らしい作品なのです。一度DVDで発売された事があるようなのですがそれも廃盤らしいので、DVDにして保存する事にしました。

当時の事を語るのは
アーリン・スミス(シャンテルズ)
エリー・グリニッチ
リーバー&ストーラー
ダーリン・ラブ
ロニー・スペクター
メアリー・ウィルソン(シュプリームス) 等

ロニー・スペクターは
 「フランキー・ライモンの声に魅せられてしまった。彼ほど美しい声の人はいない。憧れだった。」と語り、
アーリン・スミス(シャンテルズ)は
 「フランキー・ライモンが13才、私が13才半。私もラジオに出られると思った。」と語ります。
そしてダーリン・ラブは
 「メイビー(シャンテルズのヒット曲)の歌手に会いたかった。凄い声だったわ。」と。

どうです!フランキー・ライモンに刺激されたアーリン・スミス、その彼女の声に驚いて会いたいと思ったダーリン・ラブ。これらの事実を聞いただけで何だか嬉しくなって、ニヤリとしてしまいます。

この時代の事を
エリー・グリニッチは
 「苦労知らずの時代。」
ダーリン・ラブは
「順調で無邪気な頃。」
ジェリー・リーバーは
 「純真無垢の時代。希望と夢と野心の時代。」
ドン・カーシュナーは
 「単なるロマンではなく、明るくて単純明快な音楽の時代だった。」
と述べています。音楽出版社とそこに楽曲を売り込む作曲家たちが多数存在していた、いわゆるブリル・ビルディングの時代ですね。

フィル・スペクターについて語るくだりもあります。
「難しい男、奇人・善人・傑物、傷つきやすい人、凄い人・才人・狂人」(エリー・グリニッチ)、「俊才」「慎重」(マイク・ストーラー)、「優秀な作編曲者・製作者、お天気屋、芸術家」(ドン・カーシュナー)、「しっかり者」「ビリヤードの名人」(ジェリー・リーバー)等々。彼と同じ時代を生きてきた人々の証言です。

その時代もビートルズを初めとするブリティッシュ・インヴェイジョンによって終焉の時を迎えます。
ダーリン・ラブは
 「一夜にして変わった。アメリカは完全にイギリス音楽に征服された。」
エリー・グリニッチは
 「侵入したイギリス人達は自作自演ばかり。私たちの場が無くなった。」
ジェリー・リーバーは
 「制作方式が変わり出版努力も水泡に帰した。時代に合わなくなった。」
と当時を振り返ります。
そしてシュプリームスから独立するダイアナ・ロスのグループ在籍最後のシングル曲“Someday We'll Be Together(またいつの日にか)”で物語は終わります。

今でこそYoutube等を通して昔の映像を簡単に目にする事ができますが、このビデオ発売当時にとっては貴重な映像満載で、ゴールド・スター・スタジオでピアノを弾きながらダーリン・ラブに歌唱指導するフィル・スペクターの映像もあります。メアリー・ウィルソンがフローレンス・バラードについて語るシーンも貴重なものです。

主な収録曲と映像も紹介しておきます。

  • My Boyfriend's Back/The Angels
  • Maybe/The Chantels
  • Will You Still Love Me Tomorrow ?/The Shirelles
  • Mashed Poteto Time/Dee Dee Sharp(ガール・グループスではありませんが、レコードのプレス工場の映像のバックに流れます。プレスの過程が分かる貴重な映像です。)
  • Chapel Of Love/The Dixie Cups(エリー・グリニッチとジェフ・バリーの結婚式のシーンのバックに流れます。)
  • Tell Him/The Ecxciters(動物園で歌う有名な映像です)
  • Dancing In The Street/Martha & The Vandellas(モータウンのグループらしく、自動車工場で歌うPVも見られます。)
  • Please Mr. Postman/The Marvelettes(TV)
  • Give Him A Great Big Kiss/The Shangri-Las(TV)
  • Needle In A Haystack/The Blossoms(TV)
  • Be My Baby/The Ronettes(TV)
  • Come See About Me
  • Baby Love
  • Stop ! In The Name Of Love
  • Back In My Arms Again
  • Someday We'll Be Together/The Supremes

少し彼女たちのステージを観てみましょうか。但し、Exciters以外はこのビデオに収録されている映像とは違いますので悪しからず。この作品に収録されているTV出演シーンの多くがShindig!からのようです。

  

ドリーム・ガールズのDVDも、もう一度観直すとしますか。

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2011年1月26日 (水)

フィル・スペクター関連のCD発売

ソニー・ミュージックエンターテインメントの子会社であるレガシー・レコーディングより、フィル・スペクター関連のアーティストのベスト盤が2月22日に発売されます。今回発売されるのは
1. Be My Baby : The Very Best of The Ronettes
2. Da Doo Ron Ron : The Very Best of The Crystals
3. The Sound of Love :  The Very Best of Darlene Love
4. Wall of Sound : The Very Best of Phil Spector 61-66

日本のamazonにはまだ載っていない曲目リストが判明しました。1~3に関しては、1992にABKCOレーベルから発売されたベスト盤との曲目の比較も書いておきます。

Be My Baby : The Very Best of The Ronettes
01. Why Don't They Let Us Fall In Love
02. Be My Baby
03. Baby, I Love You
04. (The Best Part Of) Breakin' Up
05. So Young
06. Do I Love You?
07. Walking In The Rain
08. I Wonder
09. When I Saw You
10. You Baby
11. Born To Be Together
12. Is This What I Get For Loving You?
13. Paradise
14. Here I Sit
15. I Wish I Never Saw The Sunshine
16. Everything Under The Sun
17. I Can Hear Music
18. You Came, You Saw, You Conquered

ABKCO盤と今回のベスト盤は、同じ曲数で曲目もほぼ同じではありますが、前者からHow Does It Feel ?が抜けて、代わりに 17. I Can Hear Music が入りました。正解です。前回入ってなかったのが間違いですね。

Da Doo Ron Ron : The Very Best of The Crystals
01. There's No Other Like My Baby
02. Oh Yeah, Maybe Baby
03. Uptown
04. What A Nice Way To Turn 17
05. He Hit Me (It Felt Like A Kiss)
06. No One Ever Tells You
07. He's A Rebel
08. I Love You Eddie
09. Another Country - Another World
10. Please Hurt Me
11. He's Sure The Boy I Love
12. Da Doo Ron Ron
13. Heartbreaker
14. Then He Kissed Me
15. I Wonder
16. Little Boy
17. All Grown Up
18. Woman In Love (With You)

ABKCO盤は19曲、今回は18曲。 Look In My Eyes と Girls Can Tell が抜けて Woman In Love(With You)が収録されました。

The Sound of Love : The Very Best of Darlene Love
01. No Other Love
02. He's A Rebel
03. My Heart Beat A Little Faster
04. He's Sure The Boy I Love
05. Why Do Lovers Break Each Others Hearts?
06. (Today I Met) The Boy I'm Gonna Marry
07. Not Too Young To Get Married
08. Wait Til' My Bobby Gets Home
09. Run Run Runaway
10. A Fine, Fine Boy
11. Strange Love
12. Stumble And Fall
13. (He's A) Quiet Guy
14. Long Way To Happy
15. That's When The Tears Start
16. Good, Good Lovin'
17. Lord, If You're A Woman
ABKCO盤は15曲、今回は17曲。Zip-A-Dee-Doo-Dah(ボブ・B・ソックス&ザ・ブルー・ジーンズ名義)と Chapel Of Loveが抜け、1. No Other Love11. Strange Love、15. That's When The Tears Start16. Good, Good Lovin' が追加されています。

Wall of Sound : The Very Best of Phil Spector 61-66
01. He's A Rebel
02. Da Doo Ron Ron
03. Be My Baby
04. Then He Kissed Me
05. (Today I Met) The Boy I'm Gonna Marry
06. Baby, I Love You
07. He's Sure The Boy I Love
08. Zip-A-Dee-Doo-Dah
09. Wait Til' My Bobby Gets Home
10. Walking In The Rain
11. Uptown
12. Why Do Lovers Break Each Others Hearts?
13. Do I Love You?
14. A Fine, Fine Boy
15. There's No Other Like My Baby
16. You've Lost That Lovin' Feeling
17. (The Best Part Of) Breakin' Up
18. Not Too Young To Get Married
19. River Deep, Mountain High
上記3アーティストの曲に加え、ダーリン・ラブのベスト盤から抜けた8. Zip-A-Dee-Doo-Dah/ボブ・B・ソックス&ザ・ブルー・ジーンズ16. You've Lost That Lovin' Feeling(ふられた気持ち)/ライチャス・ブラザーズ19. River Deep, Mountain High/アイク&ティナ・ターナーが収録されています。

フィル・スペクター入門編としてはWall of Sound : The Very Best of Phil Spector 61-66を
1枚持っていれば十分ですが、何しろ¥823という低価格ですから、ロネッツもクリスタルズもダーリン・ラブも全部買っちゃいましょう!

ちなみに、ABKCO盤が発売された時はレコード・コレクターズで特集が組まれましたが、今回はどうでしょう?無理かな?

Record_collectors_4

さて次回は、1983年にMGMより出た “GIRL GROUPS-The Story Of A Sound” というビデオの紹介をしたいと思います。

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