カテゴリー「ウォーカー・ブラザーズ」の7件の記事

2016年2月11日 (木)

ウォーカー・ブラザーズ~The Walker Brothers Classics-Part3 「Images」

1998年に出されたリイシュー・アルバム(オリジナル・アルバムに、シングル曲やEP盤としてリリースされた曲をボーナス曲として加えたもの)に沿ってカバー曲のオリジナルを探る試み、ようやくサード・アルバム“Images”です。
1st、2nd、共に輸入盤しか持っていないのですが、この“Images”だけは国内盤も持っています。しかし、大きな誤りを発見しましたので、その点も検証したいと思います。

Images
Images

01.Everything Under The Sun (Bob Crewe/Gary Knight)
01.ふたりの太陽
The Ronettes (ロネッツ):1965年
アルバムの作者クレジットでは「B Crewe/G Knight」となっています。これを、国内盤のライナーノーツを書いている北井康仁氏は「ボブ・クリュウ(太陽はもう輝かない)とグラディス・ナイト(グラディス・ナイト&ザ・ピップス)の共作」と書いていますが、これにはビックリ!
「G Knight」と見ただけで「Gradys Knight」と思い込んでしまったんでしょうか?
G Knight=Gary Knightであり、この数年前に出たロネッツのベスト盤にもGary Knightであることは明記されているんですがね。
ちなみに「Bob Crewe/Gary Knight」のコンビは、「ミッチ・ライダー&ザ・デトロイト・ホイールズ」に“Takin' All I Can Get”という曲を提供しています。

02.Once Upon A Summertime (Michel Legrand/Eddie Barclay/Johnny Mercer)
02.夏の日に
これまた、国内盤」は全く間違った解説をしています。
北井氏は「フランスを代表する作曲家ミッシェル・ルグランが映画『思い出の夏』に書き下ろしたナンバー」と書いていますが、それは「おもいでの夏(ひらがなです)」のテーマ曲でスコットが“The Summer Knows”のタイトルで歌ってる曲ですよね?
こちらの曲は、ミシェル・ルグランがエディ・バークレーと共作したシャンソン(フランス語詩はEddy Marnay)、“La Valse des Lilas”(リラのワルツ)が元歌で、作曲した年度については「1954年」と書いてあるサイトもあれば「1958年」というサイトもあり不確実です。最初にレコーディングしたアーティストについても確証が得られないので、ここではミシェル・ルグラン本人のものを貼っておきます。

これにジョニー・マーサーが英語の歌詞を付け、ブロッサム・ディアリー1959年リリースのアルバム“Once Upon a Summertime”収録されたのが英語版の最初のようです。
にも関わらず、「1962年にジョニー・マーサーが英語の詩をつけて・・・」と書いてあるサイトが複数ありました。みんなコピペしてるんですね(^_^;)

03.Experience (Scott Engel)
03.エクスペリエンス

04.Blueberry Hill (Al Lewis/Vincent Rose/Larry Stock)
04.ブルーベリー・ヒル
これも補足説明を!
国内盤では「もともとは、'41年の映画『ザ・シンギング・ヒル』で紹介された曲」と書かれていますが、、最初にレコーディングしたのはSammy Kaye Orchestra(歌はトミー・ライアン)(1940年5月31日録音)で、この年に他に6アーティストとの競作となっているようです。
Sammy Kaye Orchestra”のヴァージョンはYouTubeに見当たらなかったので、同年6月13日に録音されたグレン・ミラー・オーケストラ」のヴァージョンを。

05.Orpheus (Scott Engel)
05.オルフェ

06.Stand By Me (Ben E. King/Jerry Leiber/Mike Stoller)
06.スタンド・バイ・ミー
Ben E. King(ベン・E・キング):1961年

07.I Wanna Know (John Maus)

08.I Will Wait For You (Michel Legrand/Jacques Demy) English Lyrics : Norman Gimbel
08.(Theme From Les Parapluies de Cherbourg)
08.シェルブールの雨傘
原題“Je ne pourrai jamais vivre sans toi”)

09.It Makes No Difference Now(Iller Pattacini, Mogol )English Lyrics : Norman Newell
09.今は過ぎしこと
オリジナルは1966年にイタリアのウイルマ・ゴイクが歌った“Occhi innamorati(あこがれの瞳)”で、カバーはウォーカーズが最初のようです。

10.I Can't Let It Happen to You (John Maus)

11.Geneviene (Scott Engel)

12.Just Say Goodbye(Tony Hatch/Petula Clark/Pierre Delanoë)
この曲に関しては正直なところよく分かりません。ペトゥラ・クラークはパリに住んでいた事がありますし、仏語盤・英語盤の両方があるところをみるとペトゥラ・クラークがオリジナルなんでしょうか?

【Bonus Tracks】
13.Stay With Me Baby(Jerry Ragovoy/George David Weiss)-1967 A-Side
13.ステイ・ウィズ・ミー・ベイビー
Lorraine Ellison(ロレイン・エリソン):1966年全米POPチャート第64位、R&Bチャート第11位

14.Turn Out The Moon (Scott Engel)- B-Side of "Stay With Me Baby"
14.月に消えた恋

15.Walking In The Rain (Barry Mann/Phil Spector/Cynthia Weil)-1967 A-Side
15.ウォーキング・イン・ザ・レイン
The Ronettes(ロネッツ):1964

16.Baby Make It The Last Time ( Scott Engel/K. E. Duncan/M. Nicholls)- B-Side of "Walking in the Rain"

 

【追加】
Pretty Girls Everywhere (Eugene Church/Thomas Williams)
プリティ・ガールズ・エブリホェア
Eugene Church & the Fellows:1958

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2016年1月14日 (木)

デヴィッド・マークス(ビーチ・ボーイズ)のアルバムにジョン・ウォーカー(ウォーカー・ブラザーズ)生前最後のパフォーマンスが。

「ビーチ・ボーイズのカール・ウィルソンにギターを教えたのはウォーカー・ブラザーズのジョンだった」という事は、ウォーカー・ブラザーズ・ファンには有名な話で、僕も1967~8年のミュージック・ライフの記事を読んだ事があるのですが、その件についてカール自身やビーチ・ボーイズ関係者が直接触れている事を、目にしたり耳にしたりする事はつい最近までありませんでした。少なくとも私は。
しかし、2014年に日本でも公開されたブライアン・ウィルソンのドキュメンタリー映画「ブライアン・ウィルソン ソングライター~ザ・ビーチ・ボーイズの光と影~」の中で、ビーチ・ボーイズのデヴィッド・マークスによってついに語られたのです。映画を観ていて思いもかけずこれを聞き、ついニヤっとしてしまいました。

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以下、デヴィッド・マークスの言葉を字幕から。

家の近所にジョン・モスというミュージシャンがいたんだ。
彼は よく地元のライヴにギタリストとして出演しレコードも作っていた。
そして僕とカールにリッチー・ヴァレンスのギタープレーも伝授してくれた。
バラードの作り方を教えてくれたのも彼だ。
その結果 でき上がったのが“サーファー・ガール”や“イン・マイ・ルーム”だ。

ここで「ウォーカー・ブラザーズ」という名前は出て来ませんでしたので、どれだけビーチ・ボーイズ・ファン、ブライアン・ウィルソン・ファンに伝わったかは分かりませんが、これがウォーカー・ブラザーズのジョンである事は明白でした。

 

そして2015年10月にリリースされたデヴィッド・マークスのアルバム“DAVID MARKS and friends LIVE on Sunset 2010”に、ジョン・ウォーカーの歌が収録されている事を12月になってから知り、あわてて購入したのでした。

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このアルバムは、2010年10月にロサンゼルスの「イースト・ウェスト・スタジオ(旧ウェスタン・スタジオ)」で行われたスタジオ・ライヴで、ジョンは奥さんのシンシアと共に参加し、“Unchain My Heart”でソウルフルなヴォーカルを聴かせてくれています。

封入されているインナースリーブにはライヴ時の写真が。

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そしてインナーの裏表紙にはジョンに対するデヴィッドの感謝の気持ちが綴られています。

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これが、2011年5月に亡くなったジョンの最後のレコーデイングのようですので、ビーチ・ボーイズ・ファンだけでなく、ウォーカー・ブラザーズ・ファンにも一聴の価値有りです。

日本ではdisc unionでしか手に入らないようです。 アルバム自体の解説もこちらで。 http://diskunion.net/portal/ct/detail/RY151023-DM-01?utm_source=rmd&utm_medium=ad&utm_campaign=rmd

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2016年1月13日 (水)

ウォーカー・ブラザーズ~The Walker Brothers Classics-Part2「Portrait」

1998年に出されたリイシュー・アルバム(オリジナル・アルバムに、シングル曲やEP盤としてリリースされた曲をボーナス曲として加えたもの)に沿ってカバー曲のオリジナルを探る試み、第一回のTake It Easy With The Walker Brothersから4年近くの月日が経ってしまいました(^_^;)
国内盤に解説されているかも知れませんが私は持っていませんので、誤りなどございましたらご指摘下さい。

二回目はセカンド・アルバム“Portrait”です。

Portrait
Portrait

01.In My Room(Joaquin Prieto)English Lyrics : L.Pockriss/P.Vancs
01.孤独の太陽
Antonio Prieto(アントニオ・プリエト):El Amor(「愛」の意味)
ホアキン・プリエトが作り、弟のアントニオ・プリエト(チリの俳優兼歌手)が歌ったのがオリジナルのようです。ここまで辿りつくまで40年以上かかってしまいました。1966,7年当時のウォーカー・ブラザーズのライナー・ノーツには「原曲はイタリアのカンツォーネ」と書いてあり、それを信じて疑わなかったのに全然違うとは!しかもそれを書いたのが朝妻一郎氏ですからね。そりゃあ信じますよ(^_^;)
一般的にカンツォーネとして知られている「ラ・ノヴィア」という曲、実はこれもホアキンが作詞・作曲してアントニオが歌ったものがオリジナルだそうで、それも関係あるんでしょうか?

と、そこまで調べたらまだその前があったようで、スペインのJaime Moreyが1964年に歌ったのがオリジナルのようです。 この辺は確信の持てる情報がなく、まだまだ調べなければいけないところです。

英語の訳詞を歌った最初と思われるのがVerdelle Smith(ヴァーデル・スミス)。これが彼女のデビュー曲で、1966年1月に62位を記録しています。
Verdelle Smith-(Alone) In My Room

アントニオ・プリエト、ヴァーデル・スミス共にCDの入手は困難

MP3です。

03.Just For A Thrill(L.Arstrong/D.Raye)
03.ジャスト・フォー・ア・スリル
元ルイ・アームストロング夫人Lil Hardin Armstrong(リル・ハーディン・アームストロング)が1936年に歌ったのがオリジナルで、歌詞も彼女によるものです。

でも同じ曲には聴こえないでしょう?これも1959年にカバーしたレイ・チャールズ・バージョンがお手本でしょうか?

 

04.Hurting Each Other(Peter Udell/Gary Geldd)
04.ハーティング・イーチ・アザー
Jimmy Clanton:(ジミー・クラントン):1965
ジミー・クラントンはルイジアナ出身のシンガーで、50年代後半から60年代前半にかけてトップ10ヒットを3曲持ちます。
彼の“Venus In Blue Jeans”は大滝詠一作の松田聖子「風立ちぬ」の元ネタとして後年知られるようになりましたね。

ジミー・クラントンと同じ1965年に、カナダの“Chad Allan & The Expressions”(後のThe Guess Who)もカバーし、1966年にカナダで19位のヒットとなっています。

05.Old FolksWillard Robison/Dedette Lee Hill
05.オールド・フォークス
Larry Clinton & His Orchestra(Vocal : Bea Wain):1938

06.Summertime(DuBose Heyward/George Gershwin)
06.サマータイム
オペラ「ポーギーとベス」より
Abbie Mitchell:1935年

07.People Get Ready(Curtis Mayfield)
07.ピープル・ゲット・レディー
これも言わずと知れたインプレッションズの曲。


09.Where's The Girl(Jerry Leiber/Mike Stoller)
09.あの娘はどこに
Jerry Butler(ジェリー・バトラー):1963

10.Living Above Your Head(Marty Sanders/Jay Black/Kenny Vance)
10.リヴィング・アバーブ・ユア・ヘッド
Jay And The Americans(ジェイとアメリカンズ):1966年76位。



11.Take It Like A Man(Jerry Leiber/Mike Stoller)
Gene Pitney(ジーン・ピットニー):1962年、シングル「リバティ・バランスを射った男」のB面としてリリース。

12.No Sad Song For Me(Tom Springfield)
12.悲しい歌を聞かせないで
The Springfields(ザ・スプリングフィールズ)
スプリングフィールズは、ダスティ・スプリングフィールド(メアリー・イソベル・キャサリン・バーナデット・オブライエン)が兄のトム・スプリングフィールド(本名ディオニシアス P.A オブライエン)、兄の友人ティム・フィールドとともに1960年に結成したグループ。
収録アルバム等不明。


【Bonus Tracks】
13.The Sun Ain't Gonna Shine Anymore
(Bob Crewe/Bob Gaudio) 1966-A-Side
13.太陽はもう輝かない
Frankie Valli(フランキー・ヴァリ):1965年



14.After The Lights Go Out(John Stewart) B-Side of “The Sun Ain't Gonna Shine Any More”
14.明りが消えたのち

15.(Baby) You Don't Have To Tell Me(Peter Antell) 1966-A-Side
15.心に秘めた想い
Bobby Coleman(ボビー・コールマン):1965年
詳細不明です。

16.My Love Is Growing (John Stewart/Robbie Van Leeuwen) B-Side of  “(Baby) You Don't Have To Tell Me”
16.マイ・ラブ・イズ・グローイング

17.Another Tear Falls( Burt Bacharach/Hal David) 1966-A-Side
17.もう一つの涙
 Gene McDaniels (ジーン・マクダニエルズ):1961
1961年に全米第10位を記録した“Chip Chip”のB面の曲です。
彼はソングライターとしても活躍しますが、最も有名な曲はロバータ・フラックに提供した“Feel Like Makin' Love”です。

18.Saddest Night In The World ( John Maus) B-Side of  “Another Tear Falls”
18.最も悲しい夜

19.Deadlier Than The Male ( Scott Engel/John Franz) 1966-A-Side
19.やさしい悪魔

20.Archengel ( Scott Engel) B Side of “Deadlier Than The Male”
20.天使のカンタータ

21.Sunny( Bobby Hebb) from 1966 EP:“Solo John/Solo Scott”
21.サニー
Bobby Hebb (ボビー・ヘブ):1966

22.Come Rain Or Come Shine (Harold Arlen/Johnny Mercer) from 1966 EP:“Solo John/Solo Scott”
21.降っても晴れても
ミュージカル「セント・ルイス・ウーマン」(1946)の曲。
ここではレイ・チャールズ・ヴァージョンを。

23.The Gentle Rain (Luiz Bonfá/Matt Dubey) from 1966 EP:“Solo John/Solo Scott”
23.やさしい雨
ブラジル映画「The Gentle Rain」のテーマ曲で、「黒いオルフェ」の作曲でも有名なブラジルのギタリスト・作曲家、ルイス・ボンファ作の元はインストゥルメンタルでした。

そこに歌詞が付けられアストラッド・ジルベルトが歌ったものが有名なようです。

 

24.Mrs. Murphy (Scott Engel) from 1966 EP:“Solo John/Solo Scott”
24.ミセス・マーフィー

次回“Images”も1月中に更新するつもりでおります。

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2012年5月 3日 (木)

ウォーカー・ブラザーズ~The Walker Brothers Classics-Part1 「Take It Easy With The Walker Brothers」

ウォーカー・ブラザーズにはカバー曲が多いのですが、そのオリジナルについてはライナー・ノーツにもほとんど書かれていません。書かれているのは誰もが知っている有名曲ばかり。そこですべてを調べてみる事にしました。ここでは、1998年に出されたリイシュー・アルバム(オリジナル・アルバムに、シングル曲やEP盤としてリリースされた曲をボーナス曲として加えたもの)に沿ってカバー曲のオリジナルを探ってみます(あくまでオリジナルを探すのが目的なので、カバー曲以外については触れません)。

Take It Easy With The Walker Brothers
Takeiteasy1

01.Make It Easy On Yourself(Burt Bacharach/Hal David)
01.涙でさようなら
Jerry Butler(ジェリー・バトラー):1962年8月全米20位。R & Bチャート18位。
ジェリー・バトラーはインプレッションズの初代リード・ヴォーカル。少年時代からカーティス・メイフィールドと共に聖歌隊で歌っていましたが、1958年にThe Impressions(インプレッシヨンズ)としてヴィー・ジェイ・レコードよりデビューします。そして“For Your precious Love”が全米11位を記録する大ヒットとなりますが翌1959年にソロとして独立します。ヴィー・ジェイ・レコードのA & Rマンがジェリー・バトラの為にニュー・ヨークの出版社から持ってきたのがこの曲で、そのデモテープを歌っていたのはディオンヌ・ワーウィックだったそうです。その彼女のバージョンは1970年に37位を記録しています。

 

02.There Goes My Baby(Benjamin Nelson/Lover Patterson/George Treadwell/Jerry Leiber/Mike Stoller
02.ゼア・ゴーズ・マイ・ベイビー
The Drifters(ドリフターズ):1959年POPチャート2位、R & Bチャート1位。
作者のBenjamin Nelsonはベン・E・キングの本名、Lover Pattersonはドリフターズのマネージャーです。もちろんリード・ヴォーカルはベン・E・キング

03.First Love Never Dies(Bob Morris/Jimmy Seals)
03.初恋は死なず
Jerry Fuller(ジェリー・フラー):1961年
尚、ジェリー・フラーはソングライター(この曲は彼の作ではない)でもあり、リッキー・ネルソンの“トラベリング・マン”や“ヤング・ワールド”は彼の作品です。


04.Dancing In The Street(Marvin Gaye, William "Micky " Stevenson, Ivy Jo Hunter)
04.ダンシング・イン・ザ・ストリート
Martha & The Vandellas(マーザとバンデラス):1964年2位

05.Lonly Winds(Doc Pomus/Mort Shuman)
05.ロンリー・ウィンズ
The Drifters(ドリフターズ):1960年POPチャート54位、R & Bチャート4位。
“ラストダンスは私に”の作者ドク・ポーマス&モート・シューマンの作品。
これもリード・ヴォーカルはベン・E・キング

06.The Girl I Lost inThe Rain(David Gates)
06.雨に消えた少女
C.J.Russell:1963年
最近まで、デヴィッド・ゲイツの作である事以外分からなかったのですが、ついに最初のレコーディングと思われるものを見つけました。レオン・ラッセルがC.J.Russell名義で1963年にリリースしたという音源です。

07.Land Of 1,000 Dances(Chris Kenner)
07.ダンス天国
クリス・ケナーが自ら作曲し1962年にリリース。
しかし有名な“Na Na Na Na Na~”(ウォーカーズはLa La La La La~)というフレーズはクリス・ケナーのオリジナルには無く、1965年にカバーしたCannibal and the Headhunters(カンニバル&ザ・ヘッドハンターズ)のリード・シンガーが、歌いだしの歌詞を忘れた事により偶然生まれたものだそうです。ウィルソン・ピケットのカバーが一番有名ですが、今回はこのCannibal and the Headhuntersのバージョンをご紹介。ウォーカーズはこれをお手本にしているのかも知れません。

     

08.You're All Around Me(Scott Engel/Lesley Duncan)
08.君はいつも僕の傍らに

09.Love Minus Zero(Bob Dylan)
09.ラブ・マイナス・ゼロ
Bob Dylan(ボブ・ディラン):1965年“Bringing It All Back Home”収録

10.I Don't Want To Hear It Any More(Randy Newman)
10.もう聞きたくない
Jerry Butler(ジェリー・バトラー):1964年95位
P.J .Proby(P.J .プロビー):1965
これもジェリー・バトラーのカバーです。ウォーカーズが“He Wil l Breake Your Heart”を歌っている動画がYouTubeにアップされていますが、これもジェリー・バトラー1960年全米7位のヒット曲です。しかし、ゲイリー・ウォーカーはP.J .プロビーのバックをしていた事もあるらしいので、こちらを参考にしているのかも知れませんね。

11.Here Comes The Night(Doc Pomus/Mort Shuman)
11.夜がやってくる
Ben E King(ベン・E・キング):1961年81位
これもドク・ポーマス&モート・シューマンの作品。ベン・E・キング“Young Boy Blues”(66位)のB面として発表されています。

12.Tell The Truth(Lowman "Pete" Pauling)
12.テル・ザ・トゥルース
The "5" Royales(ファイブ・ロイヤルズ):1958年
作者はグループのギタリストLowman "Pete" Paulingです。

聴いてお分かりの通り、ウォーカーズバージョンはオリジナルとはかなり違います。どうやら、アイク&ティナ・ターナーのバージョンがお手本のようです。

 

【Bonus Tracks】
13.Love Her(Barry Mann/Cynthia Weil)1965 A-Side
15.ラブ・ハー
The Everly Brothers(エヴァリー・ブラザース):1963 B-Side of "The Girl Sang the Blues"

14.The Seventy Dawn (Riz Ortolani) B-Side of "Love Her"
14.七日目の夜明け
The Lettermen(レターメン):1964年米映画「第七の暁」 (主演ウィリアム・ホールデン)主題歌

15.But I Do(Robert Guidry/Paul Gayten)B-Side of "Make It Easy On Yourself"
15.バット・アイ・ドゥー
Clarence "Frogman" Henry(クラレンス・フロッグマン・ヘンリー):1961年4位。原題は(I Don't Know Why) But I Do
映画「フォレスト・ガンプ」(1994)、「恋するための3つのルールMickey Blue Eyes」(1999)の挿入歌としても使われています。

 

16.My Ship Is Coming In(Joey Brooks)1965 A-Side
16.僕の船が入ってくる
Jimmy Radcliffe(ジミー・ラドクリフ):1965年

MP3です

17.Looking For Me(Randy Newman)from 1966 EP:“I Need You”
17.ルッキング・フォー・ミー
Vic Dana(ヴィック・ダナ):1962年
この記事を書き始めた時点ではYouYubeにヴィック・ダナの音源が見つからなかったので、自分でアップしました。

1963年にはjohnny wadeがカバーしています。

ヴィック・ダナの歌はこちらに収録

18.Young Man Cried(Scott Engel/John Franz)from 1966 EP:“I Need You”
18.ヤング・マン・クライド

19.Everything's Gonna Be all Right(Willie Mitchell)from 1966 EP:“I Need You”
19.すべてOK
Willie Mitchell:1965年?

20.I Need You(Gerry Goffin/Carol King)from 1966 EP:“I Need You”
20.アイ・ニード・ユー
The Royal Knights:1966年

次回はセカンド・アルバム「portrait」、音源が揃い次第のアップ。

※2016年1月12日、加筆・修正を行いました。

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2011年10月20日 (木)

映画「ジョアンナ」のDVDをついに手に入れた

長年探していた物が見つかった時は本当に嬉しい。この映画がそうだ。

公開されたのは1968年。なぜこの映画を観たかと言えば、スコット・ウォーカーの歌う「When Joanna Loved Me」(ジョアンナが恋した時)が挿入歌として使われていたからだ。

その後しばらくリバイバル上映される事も無かったのだが、25年経った1993年、東京・シブヤ西武のシードホールにてリバイバル上映された。

上映期間 8月19日~9月15日
上映時間 10:50 13:00 15:10 17:20 19:30

その時のプログラムがこれだ。LPレコードのジャケット風のカバー(左)の中に表紙を入れて全24ページにわたる解説書(右)が入っている。下はチラシ。
Joanna_jacket_s  Joanna_linernotes_s_2 Joanna_flyer_s_4  

その解説書には、マイケル・サーン監督へのインタビュー、雑誌「オリーブ」のスタイリストによるファッション解説、映画のロケ地マップ等が載っている。

目次
02 Introduction by MICHAEL SARNE
04 Welcome back to Japan again, Joanna. 1968-1993
06 Actors
08 Interview with MICHAEL SARNE
12 Special Pin-up
14 All About Joanna's Fashion
17 ROD McKUEN Season in the sun with JOANNA
19 A GUIDE TO SWINGING ‘JOANNA’
20 “Talking Sixties” MICHAEL S. LAUGHLIN & MICHAEL CHOW
    How to cook ‘Chicken JOANNA’
22 CREDIT & SYNOPSIS

All About Joanna's Fashion のページがこれ
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ストーリーは、美術学校に入学が決まりロンドンにやってきたジョアンナが、様々な人々と出会い色々な経験をしていく(よくわからない?そう、色々あり過ぎて一言では説明できないんです)というもの。この映画の魅力はストーリーよりもファッションにある。

映画は、ロンドンのパディントン・ステーションの構内の様子を映し出す場面から始まる。この場面はモノクロだ。そこへジョアンナの乗った列車が到着する。そして彼女がホームに降り立つと同時に映像はカラーに変わる。そう、ジョアンナの登場で場面が一気に明るくなるのだ。

この時のジョアンナの服装は、赤いパンタロンに白のエナメルのブルゾン、背中には赤で“JOANNA”の文字。帽子も白のキャスケット。トランクは赤だ。
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半同棲中の“イカしたスポーツ・カーの彼”の家で、彼が別の女性と一緒に居るところを目撃するシーンがあるのだが、その時彼が腰に巻いているタオル はグリーン、そして傷ついたジョアンナが荷物をまとめて出ていく時の彼女の服もグリーン、アイシャドウもグリーンだ。また、男性とベッドを共にしていると ころを、訪ねてきた妻子に見られてしまうシーンがあるが、その小さい女の子はグリーンのコートを着ている。
そう、登場人物の心境がすべて色で表現されているのだ。そんなところに注目しながら観るのも面白い。

「When Joanna Loved Me」(ジョアンナが恋した時)が流れるシーンがこれ。


次はスコットの歌う “Man From Reno” が使われているイザベル・アジャーニ「可愛いだけじゃダメかしら」(TOXIC AFFAIR)のDVD化に期待したいところ。
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もう一つおまけに「キッスは殺しのサイン」は?


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2011年5月 9日 (月)

元ウォーカー・ブラザーズのジョン・ウォーカー(John Walker)亡くなる

元ウォーカー・ブラザーズのジョン・ウォーカーが、5月7日肝臓癌の為LAの自宅で亡くなったそうだ。享年67歳。
NMEホームページ

元々スリムでスタイルの良い彼だが、近年の姿を見るにつけ「随分頬がこけたなぁ!」と思っていたが、まさかこんなに若くして亡くなるとは。

「ウォーカー・ブラザーズ~The Walker Brothersがアイドルだった」の記事に書いたように、私が初めて買った洋楽のLPがウォーカー・ブラザーズだっただけに、驚きとショックは隠せない。
ご冥福をお祈り致します。

Kentuckywoman Woman_s

Cottonfields_s Truegrit_s

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2011年2月 6日 (日)

ウォーカー・ブラザーズ~The Walker Brothersがアイドルだった

Walkerbrothers_mono_2 フィル・スペクター関連のCD発売の記事で1983年のベスト盤発売時にレコード・コレクター誌に特集が組まれた、と書きましたが、大瀧詠一氏と山下達郎氏の対談も載っています。司会は萩原健太氏。その中で山下達郎氏は「中学2年生の時にウォーカー・ブラザーズのLPを買った。朝妻(一郎)さんの“(Baby)You Don't Have To Tell Me-心に秘めた想い”の解説に『フィル・スペクターを思わせるノイジーなサウンド』と書かれていて、ここで初めてフィル・スペクターの文字を見たんです。」と述べています。私もまさにそうなのです。私が初めて買った洋楽のLPがウォーカー・ブラザーズなのです。小学校6年生でした。

ウォーカー・ブラザーズは、ジョン・ウォーカー(本名ジョン・マウス):ギター、スコット・ウォーカー(本名スコット・エンゲル):ベース、ゲイリー・ウォーカー(本名ゲイリー・リーズ):ドラムの3人からなるアメリカ出身のグループで、イギリスに渡り成功を収めます。アメリカ時代はリーゼントでロックン・ロールを歌い、リード・ボーカルをジョンも担当していたようです。
※左手後ろにはブロッサムズ(ダーリン・ラブ)の姿を見る事が出来ます。

ジェフ・ベックが譲り受けたというエスクワイアが、ここでジョンが弾いているギターのようです。
John_jeff
左がジョン・ウォーカー(Shindig ! 別シーンより)、右がヤードバーズのジェフ・ベック

ジェフは譲り受けた後、幾つかのパーツ変更をしておりピックガードも白から黒に変更されたようです。

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2ndシングル「ラブ・ハー」 よりスコットがリードをとりジョンがハーモニーをつけるというスタイルが確立され、3rdシングル「涙でさようなら」と5th「太陽はもう輝かない」が全英NO.1を獲得します。活動期間は2年余りと短かったのですが、イギリス及び日本では爆発的な人気を誇ります。

そして1967年2月プロモーションの為初来日、精力的にTV出演をこなします。5日間(実質4日間)の滞在中出演したのは、
Wb_tv_s 2月5日(日)
 TBS「歌うバラエティ」録画
2月6日(月)
 フジTV「ビート・ポップス」録画
 NTV「11PM」生出演
2月7日(火)
 NTV「明星スター劇場」録画
 フジTV「ザ・ヒット・パレード」録画
2月7日(水)
 TBS「ヤング720」録画

このTV出演が、私を含め今まで彼らの事を知らなかった者にも強烈なインパクトを与えます。その当時、私もフィル・スペクターなど知りませんでしたが、他のグループとは違う深みのあるサウンドとスコットの魅惑的な低い声、当時23,4才であったにもかかわらず大人を感じさせるカッコ良さに、忽ちファンになったのです。彼らのNo.1(UK)ヒットは「涙でさようなら」と「太陽はもう輝かない」ですが、日本では「孤独の太陽」と「ダンス天国」が大ヒットしました。その当時の私はクリス・ケナーもウィルソン・ピケットも知りません。「ダンス天国」と言えばウォーカー・ブラザーズだったのです。

彼らのサウンドは、フィルズの中ではどちらかと言えばライチャス・ブラザーズの系統でしょうか?ロネッツの曲も「Everything Under The Sun」と「Walking In The Rain」をカバーしてはいますが。


1.(Baby)You Don't Have To Tell Me-心に秘めた想い
2.The Sun Ain't Gonnna Shine Anymore-太陽はもう輝かない
3.Land Of A Thousand Dances-ダンス天国
4.Deadlier than the Male-やさしい悪魔
5.Everything Under The Sun-二人の太陽

また日本に来る事を約束して日本を去った彼らですが、何とその3ヶ月後に突然解散してしまい、ジョンとスコットはソロに、ゲイリーはゲイリー・ウォーカー&ザ・レイン(後にバッド・フィンガーに加入するジョーイ・モランドがおりました)を結成する事になります。しかし、日本のファンとの約束を守る為(?)と、翌年1968年1月に日本でのみ公演を行ったのです。一度解散した(している)グループが日本公演の為だけに集まるという極めて稀なケースです。音源だけですが、来日公演の様子をYouTubeにアップしました(私が)ので、ファンの熱狂ぶりを聴いてみて下さい。ちなみにサポート・メンバーのドラムスは、後にジェフ・ベック・グループに加入するミック・ウォーラーでした。

彼らはまた、不二家のCMにも出演しています。

プレゼントに応募してポスター集めたものでした。 Wb_poster_1200_3

来日公演を終え彼らはまた個々の活動に戻るのですが、1975年には本当に再結成し1978年までに3枚のアルバムを残し、また解散します。

フィル・スペクターつながりでのウォーカー・ブラザーズ紹介ですので、個々のソロ活動や再結成時の彼らについて述べるのはここでは差し控えます。それにスコットについて語るのはそう簡単に出来る事ではないので。

以前に再発されたオリジナル・アルバムは残念ながら廃盤になっていて、ベスト盤しか手に入らないようです。


スコットに関しては、デビュー当時からの軌跡を追ったドキュメンタリーがDVDとして出ています。エグゼクティブ・プロデューサーをデヴィッド・ボウイが務め、ブライアン・イーノ、マーク・アーモンド、ジャーヴィス・コッカー(パルプ)、レディオヘッド、スティングなど、スコットから影響を受けたミュージシャンが彼について語っています。


【追記】2011年9月19日
ウォーカー・ブラザーズのアルバム・コレクションを公開しました。
My Collection-The Walker Brothers

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