ウォーカー・ブラザーズ~The Walker Brothersがアイドルだった
フィル・スペクター関連のCD発売の記事で1983年のベスト盤発売時にレコード・コレクター誌に特集が組まれた、と書きましたが、大瀧詠一氏と山下達郎氏の対談も載っています。司会は萩原健太氏。その中で山下達郎氏は「中学2年生の時にウォーカー・ブラザーズのLPを買った。朝妻(一郎)さんの“(Baby)You Don't Have To Tell Me-心に秘めた想い”の解説に『フィル・スペクターを思わせるノイジーなサウンド』と書かれていて、ここで初めてフィル・スペクターの文字を見たんです。」と述べています。私もまさにそうなのです。私が初めて買った洋楽のLPがウォーカー・ブラザーズなのです。小学校6年生でした。
ウォーカー・ブラザーズは、ジョン・ウォーカー(本名ジョン・マウス):ギター、スコット・ウォーカー(本名スコット・エンゲル):ベース、ゲイリー・ウォーカー(本名ゲイリー・リーズ):ドラムの3人からなるアメリカ出身のグループで、イギリスに渡り成功を収めます。アメリカ時代はリーゼントでロックン・ロールを歌い、リード・ボーカルをジョンも担当していたようです。
※左手後ろにはブロッサムズ(ダーリン・ラブ)の姿を見る事が出来ます。
ジェフ・ベックが譲り受けたというエスクワイアが、ここでジョンが弾いているギターのようです。
左がジョン・ウォーカー(Shindig ! 別シーンより)、右がヤードバーズのジェフ・ベック
ジェフは譲り受けた後、幾つかのパーツ変更をしておりピックガードも白から黒に変更されたようです。
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2ndシングル「ラブ・ハー」 よりスコットがリードをとりジョンがハーモニーをつけるというスタイルが確立され、3rdシングル「涙でさようなら」と5th「太陽はもう輝かない」が全英NO.1を獲得します。活動期間は2年余りと短かったのですが、イギリス及び日本では爆発的な人気を誇ります。
そして1967年2月プロモーションの為初来日、精力的にTV出演をこなします。5日間(実質4日間)の滞在中出演したのは、
2月5日(日)
TBS「歌うバラエティ」録画
2月6日(月)
フジTV「ビート・ポップス」録画
NTV「11PM」生出演
2月7日(火)
NTV「明星スター劇場」録画
フジTV「ザ・ヒット・パレード」録画
2月7日(水)
TBS「ヤング720」録画
このTV出演が、私を含め今まで彼らの事を知らなかった者にも強烈なインパクトを与えます。その当時、私もフィル・スペクターなど知りませんでしたが、他のグループとは違う深みのあるサウンドとスコットの魅惑的な低い声、当時23,4才であったにもかかわらず大人を感じさせるカッコ良さに、忽ちファンになったのです。彼らのNo.1(UK)ヒットは「涙でさようなら」と「太陽はもう輝かない」ですが、日本では「孤独の太陽」と「ダンス天国」が大ヒットしました。その当時の私はクリス・ケナーもウィルソン・ピケットも知りません。「ダンス天国」と言えばウォーカー・ブラザーズだったのです。
彼らのサウンドは、フィルズの中ではどちらかと言えばライチャス・ブラザーズの系統でしょうか?ロネッツの曲も「Everything Under The Sun」と「Walking In The Rain」をカバーしてはいますが。
1.(Baby)You Don't Have To Tell Me-心に秘めた想い
2.The Sun Ain't Gonnna Shine Anymore-太陽はもう輝かない
3.Land Of A Thousand Dances-ダンス天国
4.Deadlier than the Male-やさしい悪魔
5.Everything Under The Sun-二人の太陽
また日本に来る事を約束して日本を去った彼らですが、何とその3ヶ月後に突然解散してしまい、ジョンとスコットはソロに、ゲイリーはゲイリー・ウォーカー&ザ・レイン(後にバッド・フィンガーに加入するジョーイ・モランドがおりました)を結成する事になります。しかし、日本のファンとの約束を守る為(?)と、翌年1968年1月に日本でのみ公演を行ったのです。一度解散した(している)グループが日本公演の為だけに集まるという極めて稀なケースです。音源だけですが、来日公演の様子をYouTubeにアップしました(私が)ので、ファンの熱狂ぶりを聴いてみて下さい。ちなみにサポート・メンバーのドラムスは、後にジェフ・ベック・グループに加入するミック・ウォーラーでした。
彼らはまた、不二家のCMにも出演しています。
プレゼントに応募してポスター集めたものでした。
来日公演を終え彼らはまた個々の活動に戻るのですが、1975年には本当に再結成し1978年までに3枚のアルバムを残し、また解散します。
フィル・スペクターつながりでのウォーカー・ブラザーズ紹介ですので、個々のソロ活動や再結成時の彼らについて述べるのはここでは差し控えます。それにスコットについて語るのはそう簡単に出来る事ではないので。
以前に再発されたオリジナル・アルバムは残念ながら廃盤になっていて、ベスト盤しか手に入らないようです。
スコットに関しては、デビュー当時からの軌跡を追ったドキュメンタリーがDVDとして出ています。エグゼクティブ・プロデューサーをデヴィッド・ボウイが務め、ブライアン・イーノ、マーク・アーモンド、ジャーヴィス・コッカー(パルプ)、レディオヘッド、スティングなど、スコットから影響を受けたミュージシャンが彼について語っています。
【追記】2011年9月19日
ウォーカー・ブラザーズのアルバム・コレクションを公開しました。
My Collection-The Walker Brothers
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コメント
はじめまして
ウォーカーズの詳しい記事に思わずコメントさせていただきました。
67年2月に彼らが出演したTVを観た衝撃がきっかけでLP『太陽はもう輝かない』を買いました。
掲載の画像はじめ来日時の資料を豊富に保管されていることと推察いたします。「歌うバラエティ」の画像は当時見た記憶が残っています。感激しました。
この当時私は中学生、周囲に女の子のファンがあまりに多いので、隠れファンをしておりました。
投稿: yuki7207 | 2011年12月10日 (土) 14時50分
私もyuki7207さん同様、TVで観てウォーカーズのLPを買いました。初めて買ったLPでした。それ故、ジョンの死はショックでしたね。
投稿: addsomemusic | 2011年12月10日 (土) 20時23分
はじめまして。映画のブログを書いています。「エンド・オブ・ザ・ワールド」の記事を書く時、ウォーカー・ブラザースのことを書いたのですが、その時、貴ブログを拝見しました。素晴らしい!の一言です。一気にあの時代に戻ってしまいました、YouTubeでもCDでもウォーカー・ブラザースの曲は聞けますが、懐かしさに感動しています。映画の方もぜひ。ありがとうございました。
投稿: linlilin | 2012年12月26日 (水) 21時05分
linlilinさん、コメントありがとうございました。
「エンド・オブ・ザ・ワールド」の事は知りませんでした。貴重な情報ありがとうございました。「パイレーツ・ロック」でも壁にウォーカーズが飾ってありましたね。今度「エンド・オブ・ザ・ワールド」観てみます。
投稿: addsomemusic | 2012年12月28日 (金) 09時32分
はじめまして。 つい嬉しくなっておじゃましてしまいました。こちらのサイトを先日拝見させて頂き、今日『エンド・オブ・ザ・ワールド』を見てきました。ウォーカーブラザーズの曲が終わりの方にとても良い感じに使われていました。
スコットが今も制作活動をしているのを知ったのはつい一年程前です。
40数年のブランクを今取り戻しているところです
投稿: mesilla | 2013年2月 1日 (金) 23時22分
mesillaさん、コメントありがとうございました。
せっかく「エンド・オブ・ザ・ワールド」の事を知ったのに、私はまだ観ていません(^_^;)
早く観なきゃ!
投稿: addsomemusic | 2013年2月 3日 (日) 23時47分
YOUTUBEで久々に聞いていて、気になり、こちらがヒット。
私も中学生のときに夢中になりました。
「ミュージックライフ」は必需品。
たぶん写真のTVシーンはTBSの中尾ミエ、スパイダーズが司会で出ていた歌のバラエティーでしょう、これで参りました。
中3の京都の修学旅行では、田舎には無い「ブレスレット」を血眼になって捜し、買いました!
ジョンが亡くなったとは、、、
75年に再結成していたことは知りませんでしたね。
ありがとうございました。
投稿: silvergray | 2013年5月19日 (日) 17時08分
スコット・ウォーカーを愛聴するひとりです。実は、今回、聴くだけにとどまらず、誠に勝手な行為なのですがリミックス版を制作してしまいました。楽曲は「スコット・ウォーカーBBC・TVショー」に収録されている"If She Walked Into My Life"です。リミックスした楽器はアルトサックスで、演奏はストリートミュージシャンのつぼけんさんです。このリミックス版をユーチューブに投稿しようとしたのですがユニバーサルミュージック・ジャパンさんから許諾がおりませんでした。リミックスという複雑な権利問題を考えると当然なのでしょうが何とか公表してみたいと考え、皆様のお知恵とご協力を募ろうとクラウドファンディングのサイトOKDreamsに投稿いたしました。下記URLですが、ここで、とりあえず、皆様の「共感する」を募っておりますので、もし、アクセスいただけましたら最後にある「共感する」をクリックいただけると幸いです。唐突なお願いで大変失礼いたしますが何卒よろしくお願いいたします。
http://okwave.jp/okdreams/community/d8519067.html
投稿: TN | 2014年3月23日 (日) 17時34分
懐かしく拝見させて戴きました。
67年の2月6日(月)
フジTV「ビート・ポップス」その場に居りました。
オンエアまで時間があったので、フジテレビ内のカフェで時間つぶしして居りました、その時!生ウオーカーに合いましたよ、サイン貰うのも忘れその場に目が点に成っていた自分を思い出しました、w
投稿: seibow | 2014年6月 4日 (水) 00時47分
seibowさん、スタジオで生で見たなんて羨ましい!
僕はTV出演も翌年の来日公演もTVで観るのが精一杯でした(-_-;)
投稿: These Days | 2014年6月 4日 (水) 09時33分